書きなぐりです、参考までに。

生物の体は炭素と窒素でできている

人体の必須栄養素3種と言えば、タンパク質、炭水化物、脂質。昆虫にも同じことが言える。言わずもがな炭水化物((CH2O)n (本記事では簡単に炭素Cと考えていただければ)は体組織の主成分である他、代謝に使用される物質であり、タンパク質(窒素が色々あってたんぱく質に合成される)は外骨格であるキチン質から始まり、体組織の主成分。炭素、窒素共に体組織を構成する重要な主成分だが、問題は、炭素や窒素をどのようなプロセスで取り込み、利用しているのか。

炭素と窒素

炭素と窒素は両者共に気体の状態で存在している。早い話、これらを微生物や植物が、生物に利用できる形に変換する(同化:無機物質を利用できる物質にする反応)
炭素固定=炭素同化だが、窒素固定と窒素同化は全くの別物。炭素固定(同化)とは:所謂光合成。植物やシアノバクテリアが、太陽光というエネルギーを利用し、二酸化炭素から有機化合物(糖)を生成する。糖はセルロースなどへ変換される。
窒素固定とは:窒素固定菌 アゾトバクター、クロストリジウム、根粒菌などが待機中の窒素をアンモニウムイオンに変えるプロセスアンモニウムイオンは亜硝酸菌や硝酸菌によって硝酸イオンに変えられ、植物に取り込まれる。取り込まれた硝酸イオンは植物の体内中で再びアンモニウムイオンへ変換。

窒素同化とは:窒素原子を有機物へと変換するプロセス。アンモニウムイオン+植物中グルタミン酸→グルタミン/グルタミン+アンモニウムイオン→アミノ基/アミノ基+有機酸+酵素→アミノ酸要するに、アンモニウムイオンが植物中で色々反応し、アミノ酸へ。アミノ酸が結びついてタンパク質に。

上記プロセスは体組織を構成する建材がいかにして生産され、如何にして組みたてられるかのプロセス。その作業をこなす「労働力」、つまりエネルギーはどこから来るのか。生物は呼吸によりエネルギーを産生している。糖(炭素化合物)と酸素が反応し、エネルギー、二酸化炭素と水が生成される。(先のアンモニウムイオンのような無機物からアミノ酸の様な有機物を作る作用を「同化」と紹介したがこちらのように有機物を無機物に変えるプロセスを異化と呼ぶ)例えば植物を食べて、炭水化物を摂取。炭水化物と酸素を反応させ、水とATPへと分解する。ここではひとまず、炭素が不足するとエネルギーの産生がままならず、窒素化合物の摂取や同化すらままならないということをご承知

クワガタと炭素窒素
クワガタと炭素:幼虫の体内で共生微生物によってヘミセルロース→キシラン→キシロース→キシリトールと分解が進んでいる

クワガタと窒素:人間がタンパク質を摂取した場合、分解されたタンパク質はアミノ酸に変換。アミノ酸はそのままタンパク質に再合成されるものもあれば、ホルモン等他物質の合成に利用されることも。クワガタの場合、アミノ酸をさらに分解して細菌が再合成しているのか、アミノ酸をそのまま利用しているのかは謎。木材や微生物の死骸→タンパク質→アミノ酸→タンパク質再合成/土中のアンモニウムイオンや硝酸を摂取し、腸内の微生物がアミノ酸を合成/腸内でアンモニウムイオン固定、微生物がアミノ酸を生成。クワガタ、ハナムグリ(ひいてはコガネムシ)幼虫の腸内はアルカリ性に保たれ窒素固定菌が活動しやすい状態。窒素は全て吸収されるわけではなく、栄養をバンバカ吸収できない種も多々あり。糞中には吸収しきれなかった窒素化合物がわんさか。クワガタの幼虫は木材中の坑道トンネルで木くずと糞を混ぜ合わせて再び摂食するという行動をとる。これは糞中に含まれる窒素化合物を再び取り込むことで窒素分の再利用を促している。

c/n値とは

c/n値が低い→炭素含有量が少なく窒素含有量が多い。炭素分≒セルロース。生木はc/n値が高い、赤枯れはc/n値が低い、黒枯れは炭素も窒素も少ないクワガタは炭素質の分解に不慣れな生き物であり、進化が進むにつれ、ドルクスなど白色腐朽材₌C/N値高い餌を取り込めるように進化。原始的な種であるマダラやツヤハダは赤枯れしか分解できない。ネブトやルリの類は炭素分も窒素分も分解が苦手に、マルバネは窒素分を効率的に利用することで体躯を大きくすることに成功。

ちなみに生木のc/n値は数100〜1000で、一般的な土壌などはc/n値50以下。無論、ハナムグリは低いC/N値を好むし、雑虫はより低いC/Nを好む(ネブトやマルバネマットにコバエがよくわき、生オガマットには左程わかない経験、皆さんもおありでは)

かといってc/n値が高くなりすぎると分解不能になる。c/n値が低くなりすぎると、炭素分をとりこめず、体を作る為のエネルギーが不足するほか、微生物も死亡する。産卵一番など、もともとC/N値が高いながらも粒子が細かい餌は、加水するとc/n値が急激に低下し、酸性に偏って死ぬ。

c/n値とph

c/n値が低くなると、呼吸に使われる炭素の摂取もままならない。細菌は死滅し、たんぱく質が蓄積。ところがどっこい、たんぱく質の中にも炭素原子は含まれている。硝酸菌や亜硝酸金の類はこの炭素原子を活用することが可能。同時に硝酸を排出するので、当然土壌は酸性に傾く。酸性の土壌を食べれば、虫けらの腸内は中性に傾く。中性に傾くと、窒素固定菌や硝酸菌などの活動が鈍る→死亡!!!亜硝酸菌の類は嫌気性。酸素が減っても同じ現象が起きる。ハナムグリの場合、もともとC/N値が低い的を使用する(高いと分解不可)目が詰まりがち/水分多めのマットだとC/N値が下がりすぎて死亡。オオシマアオやカナブン、シラホシの類は比較的耐えるが、ガキテンなどはこの状況に弱い。ちなみに、オオシマアオは単純に栄養価の低い(C、N共に)低い餌を食す。ロンボリーナカナブン系はN値が高い餌を食す。同じ分解の進んだんだ餌と言っても好む性質は異なる。これはネブトとマルバネの関係に似ている。炭素分低い餌で体がでかい種は効率的にN分を分解できるものと考えている。クロカナブンが赤枯れから出た、という事例も偶然ではないように思える。

難関種とC/N値
クワガタの難関種にはしばしばカワラ菌糸を、ハナムグリの難関種にはとりあえず水分多めの腐葉土を使う用いる風潮がある。
前者は菌の活性が強くC/N値を早々に下げてくれるし、後者は元々C/N値が低い餌をさらに水分により微生物を活発に、特に嫌気性の菌活動を活発にすることでC/Nを下げている。とりあえず相手の食性がわからない以上、無難に分解しやすいエサを与えることは賢明だ。タイワンツノボソなんかは赤枯れを好むなんて話もあるが、生オガをビチャビチャに加水して時間がたつと良く産む。結局C/N値低めの餌を好むのだろう。カワラを好むなんて言われてるサワイなんかも同じ手法が使えるし、ペイロニスは元々分解の進んだ土に爆産する。難関ドルクスは存外C/N値低い餌に適応する形で進化したのかも。
一方でC/N値が低くなりすぎても悪影響が生じることは勿論、そもそもヒメオオのように野外ではC/N値が高い餌を好むにもかかわらずカワラを与えられている種もいる。色々と考え直す必要がありそうだ。